【74番】藤原定家絶賛の技巧派歌人!!源俊頼朝臣!!


ジャンル:恋
時代:平安時代 
超要約:祈りが仇に

歌の意味(子ども向け):片思いが実るように祈ったのに、逆風ゴーゴーじゃないか!
歌の意味:(私に冷淡で)つれないあの人が、私を想ってくれるようにと初瀬の観音様にお祈りをしたのに。まさか初瀬の山おろしよ、お前のように、「より激しく冷淡になれ」とは祈らなかったのに。

☟この首に関するクイズ

Q 「うかりける」の意味は?
①うっかりしている
②つれない、思い通りにならない
③しっかりしている

A ②
 「うかり」は形容詞「憂し」の連用形に過去の助動詞「けり」の連体形がついたもの。
 「憂し」は「思い通りにならず、つらい」とか「つれない」という意味になる。「つれないあの人を」という意味である。
👇語呂合わせ(覚え方)


 「初瀬」には、11面観音をまつる長谷寺があり、観音信仰の霊場とされていました。その初瀬の観音様にお祈りしたのに、初瀬の山おろし(山からふきおろすはげしい風)のように、あの人はもっと冷たくなってしまったと、思うようにならない恋を詠んだ歌です。初瀬の名物「山おろし」を詠みこみ、相手の冷たさにイメージをつなげています。

 「憂かりける人」とは「わたしに冷たかった人」、「はげしかれとは祈らぬものを」とは「相手の冷淡さがもっと激しくなれとは祈らないものなのになあ・・・」という意味です。

 作者の源俊頼(みなもとのとしより)は、「金葉(きんよう)和歌集」の撰者です。俊頼の父は、経信(つねのぶ)(71番)、子は俊恵法師(しゅんえほうし)(85番)です。つまり、3代が百人一首に選ばれています。和歌の才能を認められ、白河天皇の命で「金葉和歌集」の撰者となりました。また、俊頼らが中心となり編集した「堀河(ほりかわ)百首」という百首歌が後世にも影響を与えました。和歌は非常に技巧的でしかも情感があり、藤原定家が絶賛しています。その作風は、後世までとても大きな影響を与えました。

 「初瀬」とは、奈良県桜井市初瀬(はせ)の古い地名だそうです。観音信仰がさかんでした。上にも書きましたが、初瀬といえば長谷寺、長谷寺といえば観世音菩薩だそうです。歌枕(和歌によく取り上げられる有名な場所)の人で、初瀬山(はせやま)や長谷寺があります。平安時代に長谷寺は、たくさんの人々の信仰を集め、「枕草子」や「源氏物語」などの女流文学作品にもしばしば登場します。

 十一面観音像が本尊で多くの参拝者を迎えています。別名「花のみてら」と呼ばれるほど四季折々の花が豊かで、吉野と並ぶ桜の名所でもあり、春には牡丹やあじさいが楽しめます。広いお寺で、冬の風景もまた魅力的です。

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