【72番】70歳で恋の誘いを交わす名歌を読んだ!!祐子内親王家紀伊!!


ジャンル:恋
時代:平安時代 
超要約:お断りする

歌の意味(子ども向け):泣くことが分かっている恋なんてしませんよ。
歌の意味:噂に高い、高師(たかし)の浜にむなしく寄せ返す波にはかからないようにしておきましょう。袖が濡れては大変ですからね。(浮気者だと噂に高い、あなたの言葉なぞ、心にかけずにおきましょう。後で涙にくれて袖を濡らしてはいけませんから)

☟この首に関するクイズ

Q この歌は、ある男性から誘われた作者が、切り返しで歌った歌である。誘った男性と誘われた女性(紀伊)のどちらが年上か? 

A 女性
 実はこの歌、男は29歳、詠んだ女性(紀伊)はなんと70歳。

👇語呂合わせ(覚え方)


 この歌は、”男性が女性へ恋文の歌を詠みましょう”、”女性はお断りの返歌を詠みましょう”という形式の歌合で詠まれました。この歌を詠んだ作者は70歳。29歳の藤原俊忠(ふじわらのとしただ)(藤原定家(97番)の祖父)が「荒磯の浦風に波が寄るように、夜になったらお話したい。」という歌を送りました。それに答える形で詠まれた歌です。男の浮気心を皮肉ってつき放すという歌に仕上がっています。

 「高師の浜」は、大阪府堺市から高石市にかけての浜と「(うわさに)高し」の掛詞(かけことば)です。「かけじや」は、「波をかけまい」と「思いをかけまい」とを掛けています。百人一首に出てくる「袖」は、例外もありますが、多くが恋の歌です。そして「涙」の言葉がなくても涙を想定しています。

 作者の祐子内親王家紀伊(ゆうしないしんのうけのきい)は、平安後期の女流歌人で、後朱雀天皇の第一皇女・祐子内親王に仕えたことからこう呼ばれました。母も兄も歌人です。作者が生きていた当時、「紀伊」は「き」と呼ばれていました。生没年共に不詳です。

 現在では、残念ながら歌に詠まれた「高師の浜」辺りは埋め立てが進み、平安の風雅をしのぶ風情はありません。


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