秋の夕暮れの、寂しさにしみじみひたって詠んだ歌です。
作者は僧侶で、京都の大原の里に庵を建てて、暮らしていました。庵の外に出たのは、寂しかったからでしょうが、それは決してつらいものではなく、むしろ自然のもつ寂しさの中に身をおき、それを味わおうとしているのです。「秋の夕暮れ」の寂しさを、風情(ふぜい)があって心ひかれるものとして、とらえています。
作者の良暹法師(りょうぜんほうし)は、父が比叡山の僧、母が藤原実方(51番)の家の女の「童(わらわ)」=「召使(めしつかい)」だったと言われます。比叡山で修行するお坊さんでした。洛北・大原に隠棲、晩年は雲林院に住んだそうです。生没年共に不詳です。
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