【68番】苦難続きの悲運の天皇!!三条院!!


ジャンル:他
時代:平安時代 
超要約:逆境も人生

歌の意味(子ども向け):いつか、なつかしく思い出すだろうか。今夜の月を。
歌の意味:心ならずも、このはかない現世で生きながらえていたならば、きっと恋しく思い出されるに違いない、この夜更けの月が。

☟この首に関するクイズ

Q 作者はなぜ、生きていることに疲れたのだろうか?
①権力闘争   ②病気   ③失恋💔 

A ①
 絶大な権力を誇った藤原道長に、目を患ったことを理由に退位を迫られていた。といっても本当の理由は病気ではなく、先帝一条天皇と自分の娘との間にできた子供を次の天皇に即位させ、道長が摂政として政治権力を一手に握りたかったからである。
 そこで、疲れ果てた三条院はついに退位を決意する。その時に詠まれたのが、この歌なのである。

👇語呂合わせ(覚え方)


 作者は第67代天皇で、この歌は、作者が天皇の位をゆずろうと決心した頃に詠んだ歌です。当時、三条院は目の病気で失明のおそれがありました。しかも、権力者・藤原道長(娘3人を天皇の后にし、絶大な権力をふるった政治家)に、次の天皇はもう決まっているから早く位をゆずるよう、求められていました。結局、天皇になってから、わずか6年で退位しました。その在位の間に、2回も内裏が火事になりました。そして、退位して1年後、三条院は、この世を去りました。このように、作者の生涯は、苦難の連続だったと言えるでしょう。

 上の句「心にもあらで」は、「いっそのこと早くこの世を去りたいという自分の本心に反して」という意味で、「うき世」とは「つらいことの多い世の中」という意味です。作者は、もしこんな世を生きたならば、と自らに問いますが、そこには絶望的な将来への嘆きがあります。今の苦しみがこの先もっと深まるのではないか、とおびえる作者の辛さがうかがえます。天皇の地位をひきずりおろされた自分が無事に生きながらえることなど、とてもできないからです。そんな時に、慰めになったのが、下の句の「夜半の月」です。生きていたら恋しく思うだろうと、悲しさの中に美しくひきたっています。

 生きることに疲れ果ててしまい、もう月を見上げることしかできない状況だったのかな、と思うと、哀れだなあと思います。

 三条天皇のお墓は、金閣寺の近くにありますので、また、今度訪れてみようと思います。

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