ジャンル:恋
時代:平安時代
超要約:実は大好き
歌の意味(子ども向け):こんな風に、私の思いも燃えています。あちち。
歌の意味:せめて、こんなに私がお慕いしているとだけでもあなたに言いたいのですが、言えません。伊吹山のさしも草ではないけれど、それほどまでとはご存知ないでしょう。燃えるこの想いを。
☟この首に関するクイズ
Q この歌は、作者の実方が、初めて書いたラブレターである。〇か✖か?
A 〇
実方が思いを寄せる相手にはじめて心を打ち明けた歌である。詞書には「女にはじめてつかはしける」とあるので、ラブレターとして使われたわけだ。
ちなみに、実方は時の宮廷サロンを賑わせたモテ男であった。
👇語呂合わせ(覚え方)
この歌は、技巧のオンパレードです。まず、「えやはいぶきのさしも草」が、続く「さしも」の序詞(じょことば)で、同音の「さしも」を導き出しています。つぎに、「燃ゆる思ひ」の「ひ」は「火」の掛詞(かけことば)です。それから、「えやは(=できません)伊吹の(「伊吹」と「言う」を掛けている)」←「できません、言うことは」と倒置法が使われています。ちなみに「さしも草」とは、お灸(きゅう)に用いるもぐさのことで、ヨモギの別名です。下の句の「燃ゆる」「火」と関係があります。
作者が、思いを寄せる相手に初めて恋心を打ち明けた歌なのですが、恋に燃える自分の姿を、もぐさが燃える様子に重ねて、相手への思いの強さを表しています。
作者の藤原実方(ふじわらのさねかた)は、高い位につきましたが、ある日、宮中で藤原行成(ふじわらのゆきなり)とけんかをして、行成の冠を取って庭に投げてしまいました。その場面を、一条天皇に見られ、「歌枕を見てこい」と叱られ、遠くの地である陸奥守(むつのかみ=陸奥国をおさめる役所の長官)に左遷(させん)され、その地で亡くなりました。清少納言(62番)と、関係があったと言われています。他にも、20人以上!?という多くの女性と恋愛関係をもったそうです。
伊吹山(いぶきやま)は、近江国(滋賀)と美濃国(岐阜)の境にあります。高山植物の宝庫で、約1200種もの草花がここで見られ、イブキトラノオやイブキトリカブトなど、この山で発見された植物も数多くあるそうです。山頂までドライブウェイがあるので、一気に車で登ってみたいなあと思います。
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