【10番】超有名だが「坊主めくり」では不人気!?蝉丸!!


ジャンル:人生  

時代:平安時代 

超要約: 旅はいいな 

歌の意味(子ども向け): いろんな人がいて、おもしろいなあ! 

歌の意味:これがあの、京から出て行く人も帰る人も、知り合いも知らない他人も、皆ここで別れ、そしてここで出会うと言う有名な逢坂の関なのだなあ。 

☟この首に関するクイズ 

 Q 「これやこの」の意味は?
①たくさんあるけど、これしかない!
②これが噂に聞くあの 

 A ②

👇語呂合わせ(覚え方)


 いきなりですが、濁音や半濁音(ぱ・ぴ・ぷ・ぺ・ぽ)が使われていないのは、百人一首の中で、この歌だけです。そのせいもあり、とても詠みやすく、また、一度聞いたら忘れにくいシンプルさがあります。

 普通「逢ふ」は、男女が逢うことを意味しますが、この歌の場合は、もっと広く人の出逢いを意味しています。

  「関」(関所)は、国境沿いに設けられ、人や物の出入りを見張るところです。実は、関所は、一昔前になくなっていたのですが、歌枕としては有名で、よく歌に詠まれています。「逢坂の関」は、現在の山城国(現在の京都府)と近江国(滋賀県)の境にあった関所で、この関の東側が東国だとされていました。

 ちなみに、百人一首の中に「逢坂」が出てくる歌が3つあります。

  • これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関—蝉丸(第10番)
  • 名にし負はば 逢坂山の さねかづら 人に知られで くるよしもがな—三条右大臣(第25番)
  • 夜をこめて 鳥の空音は はかるとも よに逢坂の 関はゆるさじ—清少納言(第62番)

 作者の蟬丸は、盲目の琵琶の名手で、逢坂の関の近くに住んでいました。関所を通る人々の慌ただしい様子を見て、この歌を詠みました。と、書いていて、?となるのが、盲目なのに、関所を通る人々の様子を「見る」ことができたのか?ということです。恐らく、実際は耳で聞きながら、「心の目」で様子を思い描いていたのかも知れません。

 『今昔物語集』の巻24には、蝉丸が「逢坂山に住む盲目の琵琶の名人」として登場し、音楽の才能の優れていた醍醐天皇の孫・源博雅がその琵琶を聴くため、3年にわたり蝉丸の庵に通い続けたというストーリーが取り上げられています。

 百人一首かるたでよくやる遊び「坊主めくり」において、坊主の代表格が、蝉丸だと思います。それくらい有名で、百人一首をよく知らない人でも知っている人が多いです。

 「坊主めくり」には、一般的なルールの他に「蝉丸ルール」と呼ばれるローカルルールが存在する場合もありました。

例えば、下のようなルールです。

◯「蝉丸」が出たら、全員の札を真ん中に置く

◯「蝉丸」を引いた人は1回休み

◯「蝉丸」を引いた人は、その場でビリ決定

 「坊主めくり」を知らない子供たちと、やってみたい気持ちが強くなってきました。

 蟬丸は有名なのですが、この坊主めくりの遊びにおいては、不人気な1枚となるのでしょうね。


 福井県には、蝉丸の墓があります。流浪の果て旧宮崎村(現・越前町)にたどり着き、滞在中に亡くなったとされます。墓は同村野の田んぼの真ん中にあります。

0コメント

  • 1000 / 1000